サービスデザイン

e-Govにおけるサービスデザインの取り組みを紹介します。

e-Govにおけるサービスデザインの取り組み

サービスデザインの取り組みのうち、UX設計の取り組みについてご紹介します。
UXとは、User Experienceの略でユーザー体験などと訳されます。好事例としては、Starbucks Corporation新しいウィンドウで開くの取り組みがあげられます。カフェにおける商品(モノ)はコーヒーやケーキですが、同社は店員の接客や空間等の「カフェにおける経験」のデザインにも力を入れ、消費者から大きな支持を得ています。UXを考える際には、キャッチ(状況を把握し、分析する)&トライ(具体的な形にする)のアプローチが重要です。

e-Govにおいても、ユーザーテストや、ステークホルダー(実際の利用者である社会保険労務士、手続所管省庁である厚生労働省の職員)を巻き込んだワークショップを通じて、課題やユーザーのニーズを把握すること(キャッチ)、解決策をプロトタイプやモックアップという具体的な形に落とし込み(トライ)、再度ユーザーテストを行い、その結果を把握して(キャッチ)、改善に活かす(トライ)、という、キャッチとトライを繰り返していくプロセスを踏みました。

ユーザーテストとワークショップの実践

ユーザーテストにおいては、e-Govの利用者として想定される様々な属性の被験者に、実際にe-Govを操作してある一連のタスク(例:雇用保険被保険者資格取得の届出)を行ってもらい、その様子を観察・記録し、分析を行いました。そうすることで、アンケート等だけではわからない、本質的な利用者のニーズを把握することができます。

ワークショップにおいては、総務省e-Gov担当職員やシステム開発ベンダーだけではなく、実際の利用者である社会保険労務士、手続所管省庁である厚生労働省の職員にも参画いただき、ステークホルダーの様々な視点を踏まえつつ、ペルソナやジャーニーマップの作成を通じて分析を行いました。ペルソナ(注1)やジャーニーマップ(注2)の作成は、チーム内で具体的なイメージの共有、そして、より具体に課題の抽出、課題解決アイデアの創出を可能とする、UX設計に取り組む上で重要なプロセスです。

ペルソナ、ジャーにマップの例

(注1)ペルソナ
架空の人物像であり、パーソナリティやサービスの利用状況、サービスを利用して実現したいこと、など細かく設定を作成したもの。

(注2)ジャーニーマップ
ある個人のサービス利用の一連の流れ(サービスの利用前から利用中、利用後)の中で、各タッチポイント(ユーザーのサービスとの接点)でどのような行動を取り、どのような感情を抱くか、どのようなことを考えるか、等を記載したもの。As Isジャーニーマップでは、ユーザーの観察を通じて現状のありのままを記載していく。To Beジャーニーマップでは、As Isジャーニーマップで明らかとなった課題がどのように解消されるのか、という課題解決のアイデアも記載する。

こうした取り組みを通じて、利用者にとって必要な情報がすぐに手に入るページ構成、最適な画面遷移や動線の設定、わかりやすいラベルやアイコン等の設置等が可能となる予定です。

「デジタル・ガバメント実行計画」(2019年12月20日 改定(閣議決定))においては、「利用者中心の行政サービス改革」が重要な柱の一つに据えられています。e-Gov担当では、こうしたあるべき理想像を抱きつつ、地に足を付けてサービス構築に取組んでいます。